西部劇
著名な映画音楽家であるエンニオ・モリコーネ氏が先日亡くなられた。享年91歳。www.bbc.co.uk モリコーネは1928年にローマに生まれ、1960年ころからマカロニウエスタンを中心に音楽を提供してきた。いまフィルモグラフィーを見ているがその数は膨大でジャン…
ハワード・ホークスは西部劇の巨匠というイメージがあるが、思いの外少なくて、以前に紹介した『リオ・ブラボー』のほか、『リオ・ロボ』、『エル・ドラド』、『赤い河』くらいである。しかしいずれも傑作、神話といってよいものだ。bosszaru21.hatenablog.c…
昔スターチャンネルに加入していたころに録画していたのが残っていたので観た。略奪ではなく掠奪であり、街ではなく町である。とりたててどうこういうような作品でもないのに、スターチャンネルは芸が細かいね。本作は南北戦争に敗れた二人の若者が、一人は…
さて先日の黄色いリボンに続いて騎兵隊三部作いってみよう。bosszaru21.hatenablog.com 本日は『リオグランデの砦』である。前2作に比べるとずいぶん暗い内容であり、前作よりもさらにホームドラマ色が強くなっている。 メキシコ国境付近の砦でジョン・ウェ…
さて先日のアパッチ砦に続いて騎兵隊三部作いってみよう。bosszaru21.hatenablog.com 本日は『黄色いリボン』である。ストーリーは退役まで残すところ6日となったジョン・ウェイン演じるネイサン中尉を描くものである。 リトルビッグホーンの戦いで第7騎兵隊…
西部劇は1970年ころからジャンルとしては終焉しつつあり、『ソルジャー・ブルー』はその象徴ともいうべき作品であった。bosszaru21.hatenablog.com これからしばらくはそういう楽しくない西部劇のことは忘れて黄金時代の作品について書いていきたい。とりあ…
先日はアメリカ先住民に親和的な西部劇『小さな巨人』について紹介した。bosszaru21.hatenablog.com1970年製作の『ソルジャー・ブルー』もベトナム戦争におけるソンミ村虐殺事件への痛烈な批判である。題材は悪名高いサンドクリークの虐殺である。私がこれを…
1970年製作の『小さな巨人』はアメリカ先住民の文化を好意的に取り上げる西部劇のひとつの到達点であるとともに、アメリカン・ニューシネマの傑作でもある。お話は121歳の老人ジャックの昔語りという形で始まる。少年のジャックは平原を家族とともに馬車で移…
今日は1971年製作の『11人のカウボーイ』の話をしよう。もう西部劇はジャンルとしては衰退に向かっていることが明白な時期であり、西部劇のスーパースターであるところのジョン・ウェインが途中で惨殺いうちょっと前ならありえない展開になることで有名な作…
サム・ペキンパー監督の『ジュニア・ボナー』は1970年ころのアリゾナ州を舞台にしており本来の意味での西部劇ではないけど、マックイーンつながりということで取り上げておこう。雰囲気としては『トム・ホーン』』と『砂漠の流れ者』をブレンドした感じかな…
先日はせっかくスティーブ・マックィーン出演作を紹介したので続いてマックイーンでいこう。bosszaru21.hatenablog.com 『ネバダ・スミス』はマックイーン演じる主人公が、白人の父とインディアンの母を惨殺した3人の男を年単位で追い詰めるというものである…
先日に続いてジョン・スタージェスをもう一ついってみよう。bosszaru21.hatenablog.com スタージェスは1950年代後半に『OK牧場の決斗』、『ガンヒルの決斗』、『ゴーストタウンの決斗』の決斗三部作を監督し、アクション作家としての名声を確立した。そして…
ラグビーワールドカップで盛り上がっているので、クリント・イーストウッド『インビクタス』を当然のごとく思い出した。1995年ワールドカップ南アフリカ大会における南アフリカ代表の活躍と、ネルソン・マンデラ大統領の願う国内の宥和を重ね合わせるという…
先日はついにジョン・スタージェスを紹介してしまったので、続けてスタージェスでいこう。bosszaru21.hatenablog.com 戦後から1960年くらいまでが西部劇の黄金時代であり、その中には内容も人気も抜群の、もはや神話とでも呼ぶべき作品がたくさん存在する。…
先日は悪人顔の代表格リチャード・ウィドマークによるプロインディアンな西部劇を紹介した。bosszaru21.hatenablog.com というわけで続けてウィドマークの出演作について書いてみる。ちなみにインディアンもでてくるよ。 ヒラバレーという谷でかつて5人の白…
こないだ書いたジョン・ヒューストン、バート・ランカスター、オードリー・ヘップバーンの『許されざる者』(1959)は、拾われたカイオワ 族の娘の奪い合いという設定ながら、まだインディアン(先住民)はたんなるやっつけるべき人々という扱いであった。bossza…
先日、ジョン・ヒューストン監督の作品を紹介したので続けてもう一つ。bosszaru21.hatenablog.com クリント・イーストウッドのそれと紛らわしいのだが『許されざる者』である。ちなみにヒューストンのは”The Unforgiven”で、イーストウッドは”Unforgiven"で…
ポール・ニューマンに言及したところなのでもう一つ1970年代のポール・ニューマンの西部劇について書いておこう。bosszaru21.hatenablog.com 1972年の『ロイ・ビーン』は、実在のアウトロー判事をモデルにした作品だ。開拓期の西部には警察も裁判所もろくに…
『明日に向かって撃て』は1900年ころに悪名を轟かせたブッチ・キャシディとサンダンス・キッドのお話である。1900年ころはもう西部開拓はとうに終わっており、昔風のアウトローは時代遅れになっていた。そういう気分はこの映画が製作されて1969年のアメリカ…
アメリカン・ニューシネマの大成功作品である『イージー・ライダー』からいくつかの傑作が派生した。ジャック・ニコルソンが引き継いでよりコンテンポラリーな主題へと引き寄せたのが『ファイブ・イージー・ピーセス』であり、ピーター・フォンダ監督主演で…
サム・ペキンパーは5本の西部劇を撮っている。bosszaru21.hatenablog.com bosszaru21.hatenablog.com bosszaru21.hatenablog.com 本日は4本目である『昼下がりの決斗』である。本作は映画監督デビュー前のテレビ時代を除けば、ペキンパーの最初の西部劇であ…
サム・ペキンパーについてさらに書いていきます。bosszaru21.hatenablog.com bosszaru21.hatenablog.com ビリー・ザ・キッドは19世紀末のアメリカのアウトローで、フロンティアが消滅した西部で、事業家タンストールにガンマンとして雇われ、リンカーン郡戦…
先日からサム・ペキンパーについて書き始めたわけであるが、『ワイルドバンチ』のような流血が一つの特徴といえるが、必ずしもそれだけではないのだ。 bosszaru21.hatenablog.com 時代遅れになっていく男たちが主要なテーマであるからして、どうしてもセンチ…
先日、1970年ころから出現したオルタナティブな西部劇について少し紹介した。このジャンルは僕が西部劇の中で最も好きな作品をたくさん含んでいる。bosszaru21.hatenablog.com そしてこの分野に多大なる貢献をした映画監督がサム・ペキンパーである。 ペキン…
西部劇は山ほど見てきたが、それでもまだ見ていないのはまだまだあって、その中には重要な作品もあったりする。 先日、TSUTAYAでなんとなく借りた『モンテ・ウォルシュ』(1970)もそうだ。1970年ころになると、ベトナム戦争を背景とした厭世観、強いアメリカ…
西部劇には実在の人物をモデルにした作品が沢山ある。そういったモデルのうち最も有名なのはビリー・ザ・キッドとワイアット・アープであろう。それに匹敵する人気を誇るのがジェシー・ジェームズである。2008年にブラッド・ピット主演で『ジェシー・ジェー…
一番最初の西部劇は先日紹介したとおり1903年の『大列車強盗』であった。これは映画草創期の作品全般にいえることだが、ほとんどが短編で長くても60分くらいだった。1920年代終わりに映像と音声を同期した、いわゆるトーキーの長編が商業ベースに乗るように…
そもそも西部劇ってなんなのかというと、19世紀後半のアメリカ合衆国中西部を舞台にした映画だ。ほとんどは南北戦争後から1890年のフロンティア消滅宣言までを舞台にしている。 映画の黎明期から西部劇は制作されている、一番初めのは1903年の『大列車強盗』…
私が西部劇に関心をもったのは25年ほど前、高校1年生くらいであったろうか。黒歴史なのであまり言いたくはないのだが、当時は落合信彦にはまっていたのである。今は落合陽一氏のお父上ということのほうがよく知られているかもしれないが、最盛期の落合氏はも…