さよなら独身貴族 西部劇編

西部劇、戦争映画、時代劇について書いていくブログ。たまに書評。

プロインディアン映画とはまだいえない『許されざる者』

先日、ジョン・ヒューストン監督の作品を紹介したので続けてもう一つ。

bosszaru21.hatenablog.com


クリント・イーストウッドのそれと紛らわしいのだが『許されざる者』である。ちなみにヒューストンのは”The Unforgiven”で、イーストウッドは”Unforgiven"である。

白人に拾われ育てられたカイオワ族であるオードリー・ヘップバーンが、成長して実の兄のカイオワ族のリーダーが攫いにくるというストーリーだ。長兄のバート・ランカスターは実の家族であると主張して守り抜こうするが、次兄のオーディ・マーフィーはそんなものカイオワにくれてやれと出ていってしまう。そしてランカスターらはカイオワに包囲されて、孤立する、、、

f:id:bosszaru21:20191010222423j:plain

ヘップバーンの美しさ、家族とはなにかというようなことが主題でそれなりに面白い。しかし1959年製作のこの作品では、従来の西部劇とかわらず、先住民(インディアン)はなんか知らんけど襲ってくる人たち、倒すべき敵として描かれている。そもそもオードリー・ヘップバーンが純血の先住民の娘という設定に無理がありすぎるように思うが公開当時はそれほどでもなかったのかな。白人の俳優が白人と先住民の混血を演じることはよくあるのだが、まあそのへんを突っ込むのは野暮なのであろう。

オードリー・ヘップバーンは本作が唯一の西部劇である。もっと西部劇にもでてほしかったがまあ人気者なのでしかたないか。ジョン・ヒューストンは1961年にマリリン・モンロー唯一の数少ない西部劇であり(ロバート・ミッチャムと共演した『帰らざる河』を忘れてた)遺作でもある『荒馬と女』を撮っているが、モンローがただの頭の悪い女にしかみえなくて僕は楽しめなかった。これはクラーク・ゲーブルの遺作でもある。ヒューストンの人気ぶりがうかがえる。

OK牧場の決斗』、『ビッグ・トレイル』など数々の西部劇の名作に出演したバート・ランカスターは、本作でも男っぽくてとてもかっこいい。

B級西部劇に多数出演してきたオーディ・マーフィーは本作を契機にスターダムを駆け上がることになる。彼の見せる男気も本作の見所だ。

1970年以降はわかりやすく先住民をやっつける西部劇は作られなくなり、より先住民に親和的なものが主流になる。その中には傑作もあり、最終的には『ダンス・ウィズ・ウルブズ』のアカデミー大量受賞へと結実していくのであった。