さよなら独身貴族 西部劇編

西部劇、戦争映画、時代劇について書いていくブログ。たまに書評。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『勉強の哲学』感想など

勉強すればするほどキモくなる、ノリが悪くなる、会話が成立し難くなる、モテなくなるという現象はラディカルにものを考える人間にとっては深刻な問題でである。 それの解決策が示されているとは言い難いけど、はっきり勉強したらキモくなると言い切ったのは…

川北稔『イギリス繁栄のあとさき』の書評、Brexitにちなんで

イマニュエル・ウォーラーステイン『近代世界システム』の訳者として知られる川北稔氏の英国近代史概観。本書が書かれたのは1995年の阪神淡路大震災のあとくらい、つまりバブル崩壊が明確となる時期である。著者は19世紀末以降の大英帝国の衰退は20世紀末以…

『感じて、ゆるす仏教』さらっと感想

ニー仏こと魚川祐司さんと、日本を代表する高僧であるところの藤田一照さんの対談。話し言葉主体なので読みやすいがけっして平易というはわけではない。作中で「 命令してコントロール する系の仏教と、「 感じて、ゆるす系」の仏教といった対比がたくさん出…

『いま世界の哲学者が考えていること』の紹介

『いま世界の哲学者が考えていること』についてざっくり紹介する。内容は第1章以外は平易でブックガイドとしてまた世界で議論になっている事柄の見取り図としてよくできていると感じた。第1章は哲学・思想の潮流について、構造主義、ポストモダニズムについ…

『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』の感想

久しぶりに松尾先生の本をお買い上げ。驚いたのは松尾先生がオリンピックが終わるころには完全雇用に至りインフレが始まるという極めて楽観的な見たてをしていること(これはもちろん消費税増税がされないという前提なのだが)。そしてそれは追加的な労働力…

『War against Boys(少年たちに対する戦争)』はよ邦訳だして

アメリカのフェミニズム批判として著名な作品。どうして邦訳されないのかと思ってたが、アメリカのフェミニストあたまおかしすぎで、日本人にはちょっと参考にならんからだとわかった。アファーマティブ・アクションの名のもとに女子を優遇したり、ジェンダ…

やり抜く力 GRIT(グリット)

ベストセラーになった自己啓発もの。 努力を継続することが大事ということが繰り返し繰り返し書いてある。 そのためには小さいときに課外活動、要は部活をすることが大事らしい。それもできれば2種類以上がいいらしい。本書で引用されている伝説的なクォータ…

『金持ち課税』感想

多くの経済左派を絶望におとしいれた『金持ち課税』のいまさらながらの感想。帯にアンガス・ディートンが、本書を読めば再分配税制で貧困が解決しそうにないことがわかるよって書いてて、読んだら本当にそのとおりで草生えた。内容は戦後に各国で強力な累進…

選挙の日なので『経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策』の感想でも。

緊縮財政が厄災をもたらすというのは当たり前のことだが、本書の著者らの専門は公衆衛生であるのが特徴。大恐慌期のアメリカでニューディール政策への対応が各州で異なったこと、アジア通貨危機でIMFの勧告に従った国とそうでなかった国があったこと、リーマ…

『矛盾社会序説』の今更ながらの感想

きもくて金のないおっさん(KKO)界隈の著名人、白饅頭こと御田寺圭さんのデビュー作。20年後、団塊ジュニア=就職氷河期世代がリタイアし始めるころには爆発すること必至のKKO問題について今のうちから知っておくことは悪いことではない。資産も家族もないこ…

『欲望会議 「超」ポリコレ宣言』の感想

哲学者の千葉雅也、現代美術家の柴田英里、AV監督の二村ヒトシの3人による鼎談。Twitterでよく燃えるジェンダーや欲望や表現規制の話題を柴田が揶揄して、二村が別の視点を提供し、千葉が整理するという形式でそれらの多くはツイッターなどでさんざん語られ…

『ダークウェブ・アンダーグラウンド 社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち』

一時期すごく話題になったニック・ランドのブログの中の人のデビュー作。 toshinoukyouko.hatenablog.com 昨年夏、『Taxing the Rich』の邦訳がでて多くの友人達が絶望におちいっていくころにこのブログにでくわした。 加速主義、新反動主義を紹介するこの記…

『時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか』感想

著者はフランクフルト学派に由来する社会学者によるおもに新自由主義批判の書。 1970年代に入ってからの経済成長率の鈍化による税収の伸び悩みから、政府の債務が増加する。また新自由主義の伸長による減税もこれに資することになる。規制緩和や民営化により…

アウトプット大事だよね

はてなダイアリー長いことほったらかして、書くことといえばTwitterで短文を書き散らかすだけのここ数年だった。書くことが億劫になってしまっていけない。ということで『アウトプット大全』とかいう意識高そうな本を買ってみた。売れている本だけあって、楽…

ひさしぶりに

2005年くらいから数年にわたりはてなダイアリーでちまちまブログ書いていたのをここ数年ほったらかし気味にしていたら、いつのまにかサービスが終了しており、さらにはてなブログへの引っ越しサービスも終了しており、大変に残念なお気持ちになっている。 で…