さよなら独身貴族 西部劇編

西部劇、戦争映画、時代劇について書いていくブログ。たまに書評。

マクロ経済学

『学力の経済学』

教育の効果についてさまざまな経済学的な研究を紹介する本。世の中にはこんなことを研究してる人もいるんだなあと感心した。まずは子供を褒美で釣るのはよいか? 結論は結果ではなくインプットにインセンティブを与えるべき。そしてそれは内的インセンティブ…

『帳簿の世界史』感想

会計や帳簿という観点から世界史(正確には西洋史だが)を見直すという非常に興味深い書物。多数の絵画を引用しており、楽しく読める。以下は読書ノート。 古代より会計がおこなわれていたが、ローマ皇帝アウグストゥスが帳簿を公開して自らの偉業を誇示した。…

『途上国の旅 開発経済のナラティブ』読書ノート

著者らは世界銀行、ODAなどで途上国の開発にかかわるなかで、初期条件が異なれば処方箋も異なるという当たり前の事実をナラティブベースでつまり、新古典派などのモデルに依らずに語る。11カ国の物語は非常に多様でその意味がよくわかる。 経済発展は政治制…

『いま世界の哲学者が考えていること』の紹介

『いま世界の哲学者が考えていること』についてざっくり紹介する。内容は第1章以外は平易でブックガイドとしてまた世界で議論になっている事柄の見取り図としてよくできていると感じた。第1章は哲学・思想の潮流について、構造主義、ポストモダニズムについ…

『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』の感想

久しぶりに松尾先生の本をお買い上げ。驚いたのは松尾先生がオリンピックが終わるころには完全雇用に至りインフレが始まるという極めて楽観的な見たてをしていること(これはもちろん消費税増税がされないという前提なのだが)。そしてそれは追加的な労働力…

『金持ち課税』感想

多くの経済左派を絶望におとしいれた『金持ち課税』のいまさらながらの感想。帯にアンガス・ディートンが、本書を読めば再分配税制で貧困が解決しそうにないことがわかるよって書いてて、読んだら本当にそのとおりで草生えた。内容は戦後に各国で強力な累進…

選挙の日なので『経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策』の感想でも。

緊縮財政が厄災をもたらすというのは当たり前のことだが、本書の著者らの専門は公衆衛生であるのが特徴。大恐慌期のアメリカでニューディール政策への対応が各州で異なったこと、アジア通貨危機でIMFの勧告に従った国とそうでなかった国があったこと、リーマ…

『時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか』感想

著者はフランクフルト学派に由来する社会学者によるおもに新自由主義批判の書。 1970年代に入ってからの経済成長率の鈍化による税収の伸び悩みから、政府の債務が増加する。また新自由主義の伸長による減税もこれに資することになる。規制緩和や民営化により…