さよなら独身貴族 西部劇編

西部劇、戦争映画、時代劇について書いていくブログ。たまに書評。

神話の時代の西部劇『OK牧場の決斗』

先日はついにジョン・スタージェスを紹介してしまったので、続けてスタージェスでいこう。

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戦後から1960年くらいまでが西部劇の黄金時代であり、その中には内容も人気も抜群の、もはや神話とでも呼ぶべき作品がたくさん存在する。『OK牧場の決斗』はその一つであり、また数あるワイアット・アープものの中でも定番といってよい。もちろん落合信彦大先生のお墨付きである。大先生は、もう一つの定番であり神話である『荒野の決闘』について、我が愛しのクレメンタインという原題どおり女々しいと切って捨て、本作品は男っぽくて骨太だと評価している。まあ男っぽいというよりは、スタージェスは女性や色恋の描き方が下手だっただけという説もあるのだが、骨太であるのは間違いない。

ストーリーは肺病を患うギャンブラーであり元歯科医のドク・ホリデイ(カーク・ダグラス)が連邦保安官ワイアット・アープ(バート・ランカスター)とともに悪のクラントン一家を倒すといういたって単純なものである。本作の特徴はやはりこの二人のかっこよさ、付かず離れずのさっぱりとした友情であろう。そしてラストの対決はやや間延びしたアクションではあるもののスカッとする。しかし史実のワイアット・アープはそれほど善人でもなく、クラントン一家は普通の郊外の農場主といったとこであったらしい。まあどうでもいいことだが。

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もう一つ本作を有名にしているのが、フランキー・レインによる説明的すぎる挿入歌である。登場人物が荒野を移動するたびにこれが流れてきて、誰にでもストーリーが把握できる親切設計となっているのだ。特に冒頭の、青空のもと、荒野を三人の男が馬で駆けてくるシーンの♪O.K.Corral♪O.K.Corral♪はあまりにも有名である。なぜかバート・ランカスターの移動は馬車なのではあるが。


Gunfight at the O.K.Corral/Frankie Laine- Règlement de comptes à OK Corral (Lyrics)


さりとて個人的にはこれはスタージェスの作品の中でもそれほど好きというわけではない。またワイアット・アープものの中でも特に好きというわけではない。スタージェスによる後日譚『墓石と決闘』のほうがだいぶ好きだったりする。あるいはもっと極悪なアープが見れる『ドク・ホリデイ』とか。

とはいっても本作は定番中の定番であり、なにより落合信彦大先生推薦であるからして観なくてはならないのである。スタンダードとはそういったものなのである。