さよなら独身貴族 西部劇編

西部劇、戦争映画、時代劇について書いていくブログ。たまに書評。

ジェシー・ジェームズものの傑作『地獄への道』

西部劇には実在の人物をモデルにした作品が沢山ある。そういったモデルのうち最も有名なのはビリー・ザ・キッドとワイアット・アープであろう。それに匹敵する人気を誇るのがジェシー・ジェームズである。2008年にブラッド・ピット主演で『ジェシー・ジェームズの暗殺』が撮られており、ご存知のかたも多いだろう。
ものすごく大雑把に説明すると、ジェシーとフランクのジェームズ兄弟は南軍の生き残りである。南北戦争終結後の南部で横暴を働く鉄道会社などの大資本に対して強盗を働く義賊のようなものとして人気があるのだ。この南北戦争後の南部の人々の鬱屈はしばしば西部劇のテーマになるので覚えておこう。

先日書いたように、1939年から西部劇の黄金時代が始まった。この時期に作られたジェシー・ジェームズである『地獄への道』は僕の最も好きな西部劇のひとつだ。

鉄道会社の地上げに抵抗したジェームズ兄弟の母親が爆殺(史実は負傷したのみ)から始まる復讐の物語だが、タイロン・パワー演じるジェシーはお尋ね者として隠遁生活を送る。西部劇のヒーローらしからぬところもこの作品の魅力である。ジョン・キャラダインランドルフ・スコットらの助演陣も良い仕事をしている。ヘンリー・フォンダ演じるフランク・ジェームズもかっこいい。本作はジェシーが暗殺されて終わるのだが、フランクが暗殺者ボブ・フォードに復讐を果たす続編『地獄への逆襲』も傑作である。