さよなら独身貴族 西部劇編

西部劇、戦争映画、時代劇について書いていくブログ。たまに書評。

『仕事ができて、小金もある。でも、恋愛だけは土俵にすら上がれてないんだ、私は。』

ながらく恋愛系ブロガーとして活躍しておられる桐谷ヨウさんの女性向け恋愛指南書。凡百の恋愛本と異なり、コミュニケーション論といった趣があり、男性やすでに結婚している人たちにもおすすめできる一冊だ。なによりチャラさと優しさの同居した語り口がいい。

まず男はただなんとなくモテたいだけの生き物と暴露するところから始まる。そして一部のモテる男をのぞくとみんなビビリでヘタレであると断じる。いやあ本当におっしゃるとおりです。さらに思春期のを温存する男子、ほとんどの男性は女性から「風景扱い」されてきている、デビューのタイミングが遅いほどタチが悪い、などとグサグサ刺さる言葉が飛び出す。

それをふまえた上で女性に男性を積極的に受け入れる態度をみせることが大事だと説く。それを平たく「ヤレそう」と言い換えるあたりにも著者の誠実さを感じつずにはいられない。

他にもいわゆるヤリステを生じさせる初回ボーナス理論、ヤリチンチェックシート、つきあうまえにセックスしないという態度はなぜ萎えるか、などなど身も蓋もない話が展開していく。

中盤はタイトルのとおり恋愛の土俵に上がれていない女性向けのレクチャー。ここは著者の優しさが溢れておりとても良いです。
>>
モテる女性の振る舞い方の特徴はシンプルだ。
「男性が次のステップにすすめることを、承諾してくれそうに見える」
もしくは
「男性が次のステップに進めるように、半歩先の関係性に誘導している」
のどちらかが上手いのだ。<<

男性ならみんなめっちゃわかるこの心理を、こんなに正確かつ平易に書いている本はみたことがない。
あとは出会いを増やすためのマインドセット、各種出会いの場の長所・短所など。次に出会ってからの恋愛というゲームの流れ。
上手なおさわりのしかた、ファッション、愛嬌のつくりかたなどかゆいところに手が届くつくりとなっているのもポイントが高い。

最後の3章はゲスさは後退して、長期的な関係においていかに幸せであるかというアティテュードの話になりどんどんおもしろくなってくる。

人が人に惹かれ続けるには「安心と刺激が共存していること」が重要だ。
そして関係が長くなるにつれて、イベント性はたしかに減っていく。そこでマイルドなアップダウンに敏感になることができたら、安心と刺激が混じり合えるものということに気づくだろう。
これが長期的なパートナー関係が持っているべき視点で、かつ彼に惚れ続けることができるかのポイントとも言える。
自分のパートナーに対して、わかりやすく予想外なこと・知らない部分が減っていくのは喜ばしいことだよ。それは一緒にいたからこそで、思考パターンが読めるのは彼のことを知ってきた証拠だもの。
でも、「彼がつまらなくなった」とは別の話でもあることに気づいてみてほしいんだよね。

結婚というクロージングへの持っていき方についてはやや強引さが足りないようにも思える書き方だが、語り口はさすがにうまい。

男が「決断できない」理由はたくさんの理由がある。
だけど、様々な感情や理由をひとことで言えば
「この人を最後の相手にする決定打がほしい」
に集約される。

じゃあなにが決定打になるかは読んでのお楽しみということで。