さよなら独身貴族 西部劇編

西部劇、戦争映画、時代劇について書いていくブログ。たまに書評。

『損する結婚 儲かる離婚』は結婚する前に読むべし

恋愛工学で有名な藤沢数希氏の主に離婚について書いた本。最近、知り合いが離婚騒動に巻き込まれたようで久しぶりに読み直したのだ。

内容は離婚にまつわる婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料などの問題から始まる。離婚に関わったことのある人間なら誰でも知ってるようなことなんだけど、知らない人が驚くほど多い。簡単にいうと所得の多いほうが金銭的に損するということである。多くの場合、男性の方が所得が多いし、しかも子供がいれば男性は親権をとれないのが日本であるから、男性が結婚したがらなくなるのは当然ということになる。

次に離婚にいたる具体的なプロセスについて。僕は離婚の協議もしたし、家裁にもいったことがあるのでかなりリアルな内容だとわかる。離婚裁判はしたことないから知らないけど、ビジネスマンにとっては裁判のほうがある意味らくだと述べられているのはなるほどと思ったのである。あと弁護士や裁判官のインセンティブについて書かれているのも良い。みな各々事情があって動いていると知るのは大事なことだ。

これらを踏まえて、ダルビッシュベッキー前澤友作マーク・ザッカーバーグジョニー・デップらの結婚、離婚で動いた金額の妥当性を検証しているが、多くは法外とはいえない金額に落ち着いていることがわかる。

さらにここから金銭面でおとくな結婚相手、財産分与をふまえた結婚のタイミングなどなど生々しい話が続いていくのだが、興味深いのは、低収入な夫の正妻になって子供を作るか、金持ちの愛人になって子供を作るか、その損益分岐点はどこにあるかという身も蓋もない話だった。収入がおよそ2倍以上違うなら愛人のほうがいいらしい。法律が事実上の一夫多妻を促進する仕組みになってるのが哀しい。

本書を読むと、日本では結婚という制度が男性にかなり不利に作られていることがわかるだろう。だから男性は結婚する前に読んでおく必要があるのだが、結婚しようというウキウキ期間に読んでも頭に入らないのかもしれないな。